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医療法人ここの実会 嶋崎病院

2024年7月取材

 茨城県日立市にある「嶋崎病院」は、整形外科専門病院として、1946年日立市弁天町に開業されました。1990年に医療法人ここの実会 嶋崎病院を設立し、整形外科専門病院として長く地域医療に携わっています。現在は、県北の地で運動器疾患は、なるべくすべての分野で対応できるよう、最新・最高の技術を常に求めています。外傷骨折手術はもとより、脊椎外科、肩関節外科、股関節外科、膝関節外科、足関節外科、スポーツ外科、それぞれの専門医師が治療にあたっています。

理学療法士 亘理 克治 先生

【職歴】

1991年 理学療法士免許取得、大学病院勤務

2011年 医療法人ここの実会嶋崎病院勤務

年間約1300件の手術を実施

ー嶋崎病院の特徴

●亘理先生

 嶋崎病院は整形外科に特化した47床の病院であり、骨折や靭帯人体損傷などの外傷や変形性関節症などの予定された手術を行い、手術後は入院と外来にてリハビリテーションを提供しています。また慢性疼痛患者さんも多数来院されています。 全国で埼玉県についで2番目に医師が少ない茨城県の県北地域に位置しており医療過疎が深刻な状況です。その中で当院は膝の人工関節手術を多く行っており、茨城県内では最も多くの人工膝節手術を実施しています。人工関節以外にも多数の手術を行っており、年間で約1,300件もの手術の実績があり、理学療法士23名が入院および外来の両方でリハビリテーションを提供する体制を整えています。

walkview(ウォークビュー)導入のきっかけ

ー簡易な測定方法

●亘理先生

 前職では機器を使用した歩行分析評価を行ったことはありますが、当院では主に目で見て歩行分析や評価を行っています。walkviewはホーマー営業の方より紹介してもらいました。 従来の歩行分析は3次元動作解析が主流であり、カメラやマーカーを使った大がかりな評価方法までは…というイメージでした。しかし、walkviewは計測も簡単で保険点数も算定でき、リーズナブルであることから試しに導入しました。

 何より簡単に操作できるのがとても良いと思います。簡便な方法でなければ導入しても利用する機会が限られてしまうことが懸念されますし、若い理学療法士にも受け入れられなくなってしまいます。ひと月に8人ほどの患者さんを検査すると採算がとれる計算になるため、「すごくいいね」という話になり、院長・事務長に説明をして導入に至りました。

当院でのwalkview使用例

ーwalkviewを使用する患者さん

●亘理先生

 当院では人工関節手術を受ける患者さんが多いので、手術前術後の歩行分析に利用しています。治療効果を数値化することで、患者さんや主治医にフィードバックする際にわかりやすく伝えることができます。人工関節手術以外の患者さんにも、どこか痛い・調子が悪いということで歩行の不安定性がある患者さんはすべて歩行分析評価の対象にして実施しています。また、理学療法の前後で計測すると数値が明らかに変化することが見えることが多いので、「良くなっているね」と患者さんに測定結果を伝えることもできます。 また、転倒による易骨折性の評価や介護予防など、幅広い分野でwalkviewは活用できるのではないかと思います。

健康データの統合と分析

●亘理先生

 例えば、健常者のデータを持っている研究機関と協力しながら、骨折の既往がある患者さんや人工関節手術に至った患者さんのデータを比較して統計学的に分析することで、加齢に伴う身体機能の変化とそれらの因果関係などを検討することができるのではないでしょうか。またセキュリティー上の問題は危惧されますが、オンラインでデータを管理することで、もっと広範内な活用もできそうですし、健康促進のためのモチベーションにもつながる可能性がありそうです。

●インタビュアー

 国公立の病院では個人情報保護の観点からスタンドアローンでの管理が求められている部分もあるそうなので、オンラインのデータ管理についてはご利用の施設様次第かもしれません。

 また、Harmonic Ratio(ハーモニックレーシオ)について知らないという方も多くいらっしゃいますが、現在国際論文が3700報以上出ている歩行分析のアルゴリズムで、世界的に注目されている指標です。一般的に歩行分析装置は各社が独自のアルゴリズムを採用しているケースが多い中、「walkview」はHarmonic Ratioという世界的に活用されているアルゴリズムを採用しているので、既に基準値となりうる年齢別データや疾患別データなどがあり、今後更に様々な論文が出てくる可能性も高く、また研究としても活用しやすくなっています。

●亘理先生

 そういった研究を専門の研究機関と協力してデータを集め、健常者と転倒経験者などのデータを比較することで、walkviewのさらなる信頼性向上が期待できそうですよね。

※Harmonic Ratio(ハーモニックレーシオ)とは?

歩行の対称性・滑らかさを表す総合指標。 歩行中の加速度を周波数解析することで算出します。 国内外の歩行分析で注目されています。

walkviewを複数台導入

ー入院と外来のデータ管理

●亘理先生

 当院のリハビリテーションは、入院患者は2階、外来患者は1階のフロアに分かれています。それぞれにおいてwalkviewを使用したいと考え2台導入しました。手術前の入院時点では2階で検査を行い、手術後の外来では1階で検査を行います。そのため、入院時と外来時のデータは各々別のタブレットに保存されてしまいます。そうすると、同じ患者のデータを一元的に管理することができないために過去データとの比較が難しい状況でした。

 ホーマイオンさんに相談して、手作業でデータの統合を行うことが可能になり、これらの問題は解消できていますが、とても労力を要してしまっている現状があります。 今後の導入数の増加を見据えても、データを共有して一元で管理できれば良いと思います。例えば既存のGoogleドライブなどを用いてデータを共有することができると管理が楽になると思いますね。

ーwalkviewを使用した感想や評価

●亘理先生

 walkviewは点数が出るので良いですよね。当院ではそんなに多くはないですが、今まで30~40名ぐらいの患者さんのデータを取りました。強いて言えば、データベースを効率的に活用できればいいなと考えています。年齢や体重など多くの項目を入力しても、それは結果に反映されないので、そこが何かにリンクすればいいなと思いました。

ー月額費用診療報酬

●亘理先生

 このサービスを月2万で実現していただけるのはありがたいです。診療報酬は動作分析の250点で算定しています。

●インタビュアー

 最近は他社からも歩行分析の商品はいろいろでていますが、出力端末(タブレット端末)が含まれていないものが多く、アプリケーションとセンサーのみが主流です。そして、測定のセッティングが大変であったりけっこう良いお値段がしたりします。walkviewは簡易に測れて現場での実用性も高く、できるだけたくさんの皆様にご活用いただきたく、ご利用しやすい価格設定をさせていただきました。

ー患者さんへ検査結果のフィードバック

●亘理先生

 検査後すぐに結果がわかるので、その場でタブレットを見せて説明してから、結果を印刷して患者さんに手渡しています。 欲を言えば、結果のグラフや絵も画一的なものではなく、数値結果からもう少し踏み込んだ何かがあると良いと思います。左右の動揺が強い、外側の筋肉が弱いといった検査結果から、自主トレ方法のアドバイスなど具体的なアプローチもあれば良いなと思います。

●インタビュアー

 検査結果をどのようにリハビリに活用されていますか?

●亘理先生

 こういう結果からこういうことをしようという形にはまだ繋がってはいないです。歩行分析は評価の中の一つの指標として、他のことも参考にしながら総合的に評価判定するようにしています。

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