2023年8月取材【アーカイブ配信】
患者さんとクリニックの両方が助かる「B-SES」
ーB-SES導入のきっかけ
私は当院に勤務して9年になりますが、入職したときには既にB-SESがありました。最初にAUTO Tens PROを4台導入した後、院長が山口県での講演会で「B-SESを導入して患者さんに周知したところ、施術
希望者が多かった」という評判を聞き、「その機器ならウチにもあるぞ」ということで、4台のうち2台をリハビリユニットにバージョンアップしてB-SESを始めたと聞いています。
運動できない状態での筋力低下を防ぐためにB-SESを活用
ーB-SESの使用事例
B-SESの実際の主な使用事例としては、スポーツ選手です。学生のスポーツ選手で脊椎分離症の子がいました。3か月間コルセットを装着しなければならず、長期間運動できない状態は、スポーツ選手にとって結構ストレスがたまります。そういった状況の中でクリニカルパスを考えるときに「何か良い案はないかな?」と考えて、B-SESを活用しました。骨を強くする治療もしながら、分離症にはB-SESをひとつの方法として、必ずクリニカルパスに組み込んで筋力低下をしないように、筋力を保てるように活用しています。
彼らにB-SESを使用すると、「筋トレをしている感じがする。」と言って結構喜んでいて、「なんか、汗をかく感じがあっていい」といった感想で好評を得ています。
また、変形性膝関節症や半月板損傷の患者さんは前期~後期高齢者ぐらいの方が多く、ご自身で筋トレをするには痛みがあってなかなか積極的になれない患者さんや、活動的に動かれる方でも痛みを訴える方に対しては、B-SESを使用することで階段の昇降や立ち上がりがし易くなったと、こちらも好評価を頂いています。それと、ACLの術後の患者さんにもB-SESを使用しています。
ーB-SESの実施と運用
当院は、クリニックですので基本的には通院の患者さんに治療を行っています。患者さんには「B-SESは必ず週2回はしましょう」と呼び掛けているため、B-SESの適用は週2~3回です。実施時間は15分から20分で、私は20分するようにはしていますが、他のスタッフは大体15分ぐらいで他のメニューもしていくというかたちで行っています。
また、当院の理学療法士は全員B-SESを使えます。クリニカルパスに載せているMCLと分離症には必ずB-SESを行っていますし、院長の指示によってロコモティブシンドロームの患者さんや、物理療法の患者さんにもB-SESを使用しています。
当院では、B-SESでの診療点数的なものは取っていません。消炎鎮痛のときは消炎鎮痛だけで算定しています。B-SESの使用は、患者さんに対しての運動器の治療法のひとつ・物理療法のひとつのツールとして使っています。
ーB-SES導入のメリット
B-SESは、あんなに楽をして筋肉を維持できるという良いものはないなと、こちらとしては感じていて、B-SESの使用は、寝てするのももちろんですが、若い子には座ってするようにしています。若い子には「足が上がらないようにキープしてね」「ピンって膝が伸びないようにキープしてね」と声掛けをして、結構限界に近いぐらいまで行っています。その後は必ず30分以内にタンパク質を摂るように指導しており、それは高齢者の方にも言っています。
そのように実施していてやっぱり良いなと思うのが、SLRテストにしてもすごく力が入るようになったり、立ち座りがし易くなったりといった変化を実感しています。若い患者さんから「筋トレしてるみたい」とか「電気が流れてる感じがすごく心地良い」と言われたり、B-SESの使用箇所について「ここ使えば良いんだっていうのがわかるから良い」といった声をたくさん頂いています。
患者さんのモチベーションに繋がるリハビリを提供
ー徒手とB-SESの組み合わせ
私が、当院に入職する以前に勤めていた施設にはB-SESはありませんでした。その施設は、スポーツ選手の来院も多いところでしたが、リハビリは徒手や他の機器で行っていました。
もちろん当院でも徒手を行いますが、患者さんも長い時間徒手で筋トレをするよりも、B-SESを使用する方が負担も少なく、またB-SESの刺激が間欠的に、お腹・太腿・足首全体にかかる感覚は、徒手では味わえないものだと思います。そこが患者さんの満足度を高めていると感じており、現在は徒手でも刺激を入れて、その後にB-SESを使用するなどしています。
また、今まで自分で筋収縮をあまり入れられなかった患者さんがB-SESを使うことにより「ちょっと動いてみたいな」とモチベーションアップにつながったり、外来の患者さんでは「B-SESがしたいから来る」という感じもあったりしました。筋力維持もそうですし、体感的にも良いから来られているという印象があります。
ー使用時に工夫していること
B-SESのベルト電極について、水で濡らしたベルトを着けることを不快に思う患者さんも居られ、特に冬は「夏は良いけど冬は寒いね」と言われることもあります。冬などは、私は患者さんにB-SESとホットパックを合わせて施術するようにして、温めながら使用してもらう形にするなど、配慮・工夫をしています。また、電極シートも毎回お湯を使って提供するようにしていますが、冬はすぐ冷めてしまうので、患者さんにタオルを持参してもらうなどの提案をしています。
B-SESを使用する患者さんの服装については、患者さんには最初から「膝上まで上がる服で来てください」と伝えています。患者さんもB-SESを使用することがわかっているので、予めそういった服装で来てくれています。学生さんで服装の準備が難しい場合は、その場で短パンに穿き替えてもらっています。
また、ベルトを濡らすときの水分が少し足りていなかったりすると、「なんか、ちょっともの足りないなぁ」とか、そういうお声も頂くので、ベルトの水分量については、こちらの匙加減も大切だと思います。B-SESを使用するときに、現在は座位や臥位でしていますが、例えば、「立ってやった方が良い」などの効果的な方法があれば、ホーマーイオンさんのアドバイスを頂きたいと思っています。
ーB-SESに対する要望
B-SESを使用している約20分間は、患者さんにとってちょっと退屈ではあると思っています。もしも、例えば、刺激の強度が途中で変化したり、途中で強度が上がったときに「もうすこしガンバレ!」とか、B-SESからメッセージが発せられたりしたら面白いかなと思います。
B-SES使用時の終わり時間近くに、“トントントントン”という刺激来たら、「あっ、終わるんだな」というかたちで終了時間を認識できるのが面白いと、何人か患者さんに言われています。あの、終わり間際の“トントントントン”という刺激は、患者さんにとって心地よいマッサージ効果があるようで、すごく良いと言われてます。
それから、現在のB-SESは下半身に対しての治療法のため、上半身にも活用できるようになったらいいな、と思います。