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透析患者の食事と運動:推奨されることと避けるべきこと

透析患者にとって、適切な食事と運動は健康を維持し、生活の質(QOL)を向上させる重要な要素です。しかし、透析患者には特有の制約があり、不適切な食事や運動は体調悪化を招く可能性があります。本記事では、「透析患者」「食事」「運動」というキーワードを基に、透析患者が健康的な生活を送るために推奨されることと避けるべきことを解説します。

透析患者に推奨される食事

透析患者の食事は、腎臓の機能を補い、体調を安定させるためにバランスの取れた栄養摂取が重要です。

1. 適切なタンパク質摂取

透析によりタンパク質が失われるため、十分なタンパク質摂取が必要です。

推奨される食品: 魚、鶏肉、卵、大豆製品(納豆や豆腐)

避けるべきこと: 過剰摂取は腎臓に負担をかけるため、適量を守る

2. カリウムの摂取管理

カリウムの過剰摂取は不整脈や心停止のリスクを高めます。

推奨される食品: 低カリウム野菜(キャベツ、もやし、きゅうり)

避けるべき食品: バナナ、ほうれん草、ジャガイモ(調理前に水にさらすことでカリウムを減らす)

3. リンの摂取制限

リンの過剰摂取は骨や血管の健康を損なうため、管理が必要です。

推奨される食品: 生野菜、果物(低カリウムのもの)、白米

避けるべき食品: 加工食品、乳製品、インスタント食品

4. 塩分の制限

高塩分の食事は高血圧やむくみを引き起こします。

推奨される食品: 薄味の手作り料理、出汁を活用した味付け

避けるべき食品: 加工食品、漬物、スナック菓子

5. 水分管理

透析患者は体液バランスを維持するために水分摂取を適切に管理する必要があります。

推奨されること: 飲水量を一定に保つ、のどの渇きを抑えるために氷をなめる

避けるべきこと: 過剰な水分摂取(体重増加を防ぐため1日あたりの制限を守る)

透析患者に推奨される運動

適度な運動は、筋力の維持や心血管機能の向上に役立ちます。

1. 有酸素運動

心肺機能を高め、血圧や血糖値の管理に貢献します。

推奨される運動: ウォーキング、エアロバイク、軽いストレッチ

避けるべきこと: 激しいランニングや長時間の運動

2. 筋力トレーニング

筋力の維持・向上に効果的ですが、過度な負荷は避けるべきです。

推奨される運動: 軽いダンベル運動、スクワット

避けるべきこと: 過度な重量を使ったトレーニング

3. 運動のタイミング

透析患者は血圧の変動が大きいため、運動のタイミングが重要です。

推奨されるタイミング: 透析前の軽い運動、透析がない日の適度な運動

避けるべきタイミング: 透析直後(血圧が低下しやすいため)

4. シャント部位の保護

シャント部位に過度な負担がかかると、トラブルの原因になります。

推奨されること: シャント側の腕を過度に使わない運動を選ぶ

避けるべきこと: シャント側の腕に負荷をかける運動(腕立て伏せなど)

透析患者が避けるべきこと

1. 無理な食事制限: 極端な制限は栄養不足を招き、筋肉量低下や免疫力低下を引き起こします。

2. 激しい運動: 心臓に負担をかける激しい運動は避けるべきです。

3. 過剰な水分摂取: 透析間の体重増加を防ぐため、水分摂取は適量を守ることが重要です。

まとめ

透析患者にとって、適切な食事と運動は健康維持に不可欠です。推奨される食事と運動を実践し、避けるべきことを意識することで、より良い生活を送ることができます。医師や栄養士、理学療法士と相談しながら、無理のない範囲で取り組んでいきましょう。

参考文献

Ikizler, T. A., et al. “Nutrition and Kidney Disease: An Update.” Annual Review of Nutrition, 2019; 39: 583-609.
Johansen KL, Painter P. “Exercise in Individuals With CKD.” American Journal of Kidney Diseases, 2012; 59(1): 126-134.
KDOQI. “Clinical Practice Guidelines for Nutrition in CKD: 2020 Update.” National Kidney Foundation, 2020.
日本透析医学会. “慢性腎臓病患者の運動療法に関するガイドライン.” 2018.
日本腎臓リハビリテーション学会. “腎臓リハビリテーションガイドライン.” 2021.

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