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医療法人尚豊会
みたき総合病院

2023年5月取材【アーカイブ配信】

透析時の運動療法としてB-SESを導入

ーB-SES導入時の課題と背景

 2021年7月に当院透析室での腎臓リハビリテーションを開始した際に、運動習慣に関するアンケートを実施した結果、約60%の患者様が「運動習慣がない」と答え、そのような運動習慣のない患者様であっても骨格筋量の低下や身体機能の低下を予防し、スムーズな腎臓リハビリテーションを開始できるよ
うに考え、導入しました。
 透析室での外来患者様を主な対象として、透析と併用してB-SES を利用しています。BSESを併用することで、4時間程の透析治療時間を身体機能の維持向上も含めた時間にすることができます。患者様の6割は70歳以上の高齢者で、B-SESの操作はPT又はOTにて行っています。腎臓リハビリテーションガイドラインに基づき、透析を開始して30分頃からB-SESの施術を行っています。
 また、透析患者様の中には腎疾患だけでなく心疾患や内分泌系疾患などの多疾患併存状態にある患者様が非常に多く、そのような患者様に対して腎臓リハビリテーションを行なう際に、運動に伴う心大血管にかかる負荷を一定に留め、かつ腎臓リハビリテーションの効果を最大限引き上げたいと考え、自動運動を行なわなくても筋収縮が得られるB-SESを導入しました。

運動習慣のない患者様への運動の代用に

ーB-SESの利用対象者

 当院における腎臓リハビリテーションを開始した際は、「運動習慣が週1回もしくは運動習慣がない」患者様を主対象に行ない、それらの患者様に加えて循環器疾患の影響で有酸素運動が一定時間行えない患者様や歩行距離が伸ばせないなどの運動耐用能が著しく低下している患者様なども対象と考え使用しておりました。

ーB-SESの実施と運用

 実際に私たちが行なっているB-SESを用いた実施プロトコルとしては、基本的にリハビリテーション専門職である理学療法士もしくは作業療法士がB-SES を用いて、診療に当たっており、週3回の透析治療に合わせて、1回20~40 分程度のリハビリ時間に加えてB-SESを20分実施しております。
 B-SESによる介入で使用するモードとしては、介入初期は電気刺激に対して慣れてもらうために「廃用ソフトモード」を利用しており、強度に関しては電気刺激による疼痛の出現に注意しながら触診で筋収縮が得られることを確認することによって決定しております。徐々に患者様の状態と患者様が求める目的に合わせて「廃用モード」もしくは「代謝モード」を選択して実施しております。
 ベルトは濡らして使用するため、寒い時期にはベルトをホットパックで挟み温めたうえで治療を行うなど、患者様が冷たく感じないよう工夫しています。

ー患者様からの評価や効果

 患者様からは「足が軽くなった」「とても気持ちがいい」「むくみが減った」と言った喜びの声を頂いております。当院の患者様は廃用モードでは刺激を強く感じる方が多く、代謝モードを使うことが多いです。新しい患者様への腎臓リハビリテーションの介入きっかけは、患者様からの歩きにくさや筋力低下の訴えであることが多いため、B-SESを導入してみるというのはぴったりだと感じています。特に70~80歳代の患者様からは、「足がつることが減った」という声が多く聞かれます。
 透析後半や直後、または就寝時に足がつる患者様は多く見られますが、リハビリテーションを導入してからその回数が軽減しているようです。

B-SES導入によるリハビリテーションの多様化

ーB-SES導入のメリット

 透析中の患者様に提供できるリハビリテーションはバリエーションが限られてしまいます。そのような中で、提供できるリハビリテーションの幅が広がる一手としてB-SESは非常に活躍しております。また、装着や設定が非常にシンプルで誰でも使いやすいため、スタッフの技術や経験の差に左右されずに一定の効果が見込めるところが良い点だと思います。
 透析患者様だけでなく、病棟にて入院中の患者様への治療にも役立たせていただいております。寝たきりや離床の難しい方への治療に役立ってもらっております。

ー診療報酬の算定方法

 当院では理学療法士・作業療法士によるリハビリテーションの治療の一つとしてB-SESを使用しているため、疾患別リハビリテーション診療料もしくは消炎鎮痛等処置で算定しております。

患者様のやる気に繋がるリハビリテーションを提供

ー患者様のモチベーション維持に向けて

 私たちはみたき総合病院の地域貢献の理念のもと、患者様の日常生活を見据えたうえで透析の治療時間の中で何ができるかを考えリハビリを提供しています。
 患者様自身が良くなろうと思わないと、受け身だけでは治療にも限界があります。また、ただ筋力が上がったと言われても、生活自体に変化がみられなければ日々のモチベーションには繋がりません。患者様が困っていることに寄り添い生活の向上を目指すことで、患者様自身の意欲も変化していくと思います。